その日は、得意先との会食だった。
仕事上かなり大事な場で、こちらは完全に“飲み要員”。
毎日車通勤の自分は、事前にコインパーキングへ車を駐車。「今日は飲む」と決めて、気合いを入れて会食会場へ向かった。
会食は大成功。
話も弾み、場の空気も良く、得意先の反応も上々。正直、仕事としては満点だったと思う。
……気づいたら、かなり飲んでいた。
記憶はところどころ曖昧だが、終電もなく、タクシーで帰宅したことだけは覚えている。
そして翌朝。
いつも通り出勤しようと、家を出る。駐車場に向かい、車のある場所を見る。
……無い。
一瞬、理解できなかった。もう一度、周囲を見渡す。
やっぱり、無い。
一気にパニックになった。
「え?盗まれた?」「昨日、どこか別の場所に停めた?」「もしかして、何かやらかした?」
前日の記憶はあやふや。
でも、目の前に車は無い。
とにかく焦る。このままじゃ出勤できない。
落ち着くために、昨日一緒だった同僚に電話をかけた。事情を話すと、すぐに答えが返ってきた。「コインパーキングに停めてたよ」
……そうだ。確かに、そうだった。
一気に力が抜けた。盗難でも事故でもない。
ただ、飲んだ勢いで“車を停めたことを忘れていただけ”。
安堵したのも束の間。車はそこにあるが、今から回収して出社するとなると時間がかかる。
結果、出社は遅刻。
会食は大成功だったが、遅刻は遅刻。
部長には、きっちり怒られた。
今回の教訓。
・飲む日は、車を停めた場所をメモしておく
・記憶が飛ぶほど飲んだ翌朝は、冷静さが最優先
・仕事の成功と、翌日の段取りは別物
笑い話で済んだが、朝から寿命が縮んだ出来事だった。


コメント